「保育士不足って言われているけど、開業したらちゃんと確保できるの?」
「保育園を経営してるけど、保育士が足りない!」
「保育士を確保してもすぐ辞めるからイタチごっこだ!」
保育園コンサルの私でも、「ご安心ください!簡単に集めます!」とは言えないほど深刻な”保育士不足問題”。
これから開業する人は、漠然とした不安があると思います。
既に保育園を経営している人や人事担当の方は、「人事改革を起こす必要があるかも?」「別の視点からの求人広告が必要だ」と頭を抱えていますよね。
今回は、今後も難航する保育士不足と保育士の確保について、保育園の経営・人事を10年勤めあげ、保育園コンサルを行なっている私がお話しいたします。
まずは、保育士不足についておさらい
政府が待機児童の解消を掲げて、中途半端なゴリ押し待機児童解消プランを進めて、待機児童数は2018年度(平成30年)はガクンと減りました。
東京都でいうと、待機児童数が平成29年度は8500人、平成30年度は5500人と3000人もの待機児童が解消されたんです。
まあ、開業を目指す場合や保育園の経営をしていると、待機児童がいなくなるのは心配ですよね。開業や事業拡大が出来なくなりますからね。
一応、「行政!よくやった!」と言いたいところなんですが、そうもいかないんです。保育士不足が全く解消していないのに、やっちゃったんです。
保育士は大して増えていないのに、保育園は激増しちゃったんですね。
保育士不足は相変わらず深刻なままです。
保育園開業時の保育士確保
「保育士不足で開業するにも保育士が集まらなかったらどうしよう…」と心配になる反面、実際の保育士不足を体験していないので、何とかなると思っていませんか?
はい、何とかなります!
と言うのも、オープニングスタッフの求人は一定の人気がありますからね。
ただ、何とかなるだろうという甘い考えで求人を出してると、驚くほど応募がなく、保育士が足りずに開園できないという事例もたくさんあります。
まだ”どんな補助金が幾らもらえるか”というノウハウがない状態でしょうから、どうしても一般企業のような求人を出そうとしますし、できるだけ安く雇おうとしてしまいます。
しかし、そんなことしていたら、残念ながら保育士が集まらず開園できない状況になるかも知れません。
ちゃんとコンサルを入れるか、役所にしっかり質問して人件費予想を立てて、ライバルチェックをしましょう。
すでに保育園を開業している場合の保育確保
「最近、保育士に不採用を出した記憶ないな」なんて言ってたら、もうヤバすぎます。
流石に、明らかにおかしい人は採用しないくらいの余裕はあるかも知れませんが、微妙だと思っても採用してますよね?
そんなことをしていたら、人手不足スパイラルに陥ります。間違いなく。
まず、最初にやるべきことは、離職率を10%以下にすることです。
どのような企業規模かによりますが、ここでは認可保育所を5園程度の保育園を持っている会社だと想定してお話しします。
60名程度の認可保育所を5施設持っているとすると、”職員15名×5施設=75名”くらいの職員数かと思いますが、これくらいの規模になるとマネジメント専門の部署があると思います。
つまり、人事担当がいると言うことですね。
人事担当が採用活動を頑張るわけですが、必ず園長を絡めて、園長と責任を分担してください。
人事と園長の関係性が悪いと、保育士不足で苦しんでいるはずの園長自身が職員を退職に追い込んだりします。
園長が自分も採用した責任があると考えれば、安易に退職に追い込んだりしません。
離職率を下げられれば職員の負担が減りますし、採用にかかる費用を下げられるか、採用単価を上げることができますので、保育士確保が楽になります。
離職率が高いとひたすらイタチごっこが続き、負のスパイラルが止まりません。
離職率を下げることを最優先しなければなりません。
離職率を10%以下にした場合の保育園の状況
離職率が10%以下ということは、各保育園で1名しか退職しないという状況です。
もちろん、アラサーが多いなど、年齢に偏りがあると、結婚や出産が連発して一時的に離職率が上がることがありますが、平均して離職率を10%以下にしていれば、1年ごとに1人ずつ採用すれば良いんです。
”1年かけて1園に1人”採用くらいはできると思います。
転職エージェントに任せるだけで1人くらいは確保できるんじゃないでしょうか。
何より、新人だらけという状況を避けられますので、保育も上手く回り、現場のストレスが激減します。
離職率を下げて保育士不足を解決する方法
もちろん、「離職率を下げるのが重要くらい分かってるわ!」と言いたいと思います。
そこで、これまで私が実施してきた離職率を下げる手法をお話しします。
もちろん全部は書ききれませんが、大事なところを列挙します。
- ブラックではない(orブラックだと分からない)
- 有給休暇の消化率が高い(or上げる)
- 産育休の取得率が高い(or上げる)
- 給与等の説明をしっかりしている
- 雇用契約書・給与等の説明書など社員への説明をしっかりする
- いい感じに行政の責任にして責任転嫁する
- 保育園の園長の資質
- 職員用の相談窓口を設置する
- 給与を高く見せる
- 人事や社長の独断で、異常な職員を雇わない
- 「将来は施設長だ(主任だ)」などは、100%の保証がない限り言わない
- 保育士を余分に雇えない場合も、保育補助を出来る限り多く雇う
この中で一番大事なのは園長です。
園長がしっかりとした人なら、離職率は下がります。いかに良い園長を連れてくるか、もしくは育てるかが重要です。
この内容を更に掘り下げて説明しても欲しい場合は、人事コンサルを依頼ください。一個くらいの質問なら、無料でお答えします。
保育士などの職員は、従順な僕(しもべ)でも使い捨ての駒ではなく、それぞれが個人として将来を考えながら生きています。
「あなた達の今と将来を考えていますよ!」というPRが必要です。
保育士確保のための求人広告の戦略
離職率を下げたら、もしくは、離職率を下げる施策を打ったら、求人広告に大いに使います。
どの媒体に出すか、どれくらい予算を割けるかなど、色々な問題はありますが、求人広告にも色々な手法があります。
求人は集客と同じ部分が多いです。マーケティング的な考え方が必要になります。
保育園の経営では、集客のスキルが身につきませんので、苦手な人が多いですが。
これも全部は書ききれませんが、大事なところを書いていきます。
- ターゲットを設定する
- コンセプトを設定する
- キャッチコピーは比較的シンプルにする(奇を衒わない)
- 優位性のアピール(あれば)
- 差別化できている所をアピール
- 労働条件はしっかりと分かりやすく具体的に書く
- 会社視点で自慢をしない
- ターゲットとコンセプトに合った写真を用意する
保育士不足すぎて誰でも歓迎な場合、何となく世間全体向けに書いてしまいます。
しかし、それ、大いに間違ってるんですよね。
大企業ならそれで良いんですが、大企業ではないのでブランド力がありません。
そこで、一つ一つの求人広告でターゲットやコンセプトを設定してしっかりと作っていかないと、効果が出にくくなります。
また、しっかりと広告を作り込んで行けば、なぜ成功したかなどが分かってきますので、どんどん改善出来ます。
何となく全体向けに求人広告を出しても、何が良くて何が悪いかが分からないので、何が効果的だったか永遠に分からないんですよね。
求人広告はマーケティングだと思って!
おわり
保育園を経営していく上で、保育士確保は最も頭を悩ませることです。
しかし、しっかりと職場環境を整えれば、離職率は下がり、保育士確保に余裕が出来ます。
産育休の取得率を上げれば、普通だったら辞めるところが、戻ってきてくれます。
人件費をケチったりして離職率を上げるて、求人にお金と労力をかけ続けるより、結局は保育士のことを考えて経営する方が遥かに楽なんですよね。
それでは。