自分で子供を見れる範囲の小規模な保育園を個人で開業したい。
自分の配偶者が保育士の資格があるし、独立したがっているから、小さな保育園を開業したい。
もしくは、とりあえず個人事業主のまま、保育事業に参入したい。
個人事業主が保育園を開業することができるのでしょうか?
保育園で経営・人事を10年勤め、現在保育園の開業・経営コンサルを行なっている私が、個人事業主として保育園を開業したい場合、それが可能なのかをお話しします。
個人事業主が開業できる保育園
残念ながら、認可保育園・小規模保育園・認証保育所と言った、補助金の多い保育園は開業できないと思ってください。
東京都の場合、こういう認可系の保育園は、法人が設立することを前提としており、公募もほぼ法人に限定しています。
ただ、認可系保育園で、個人事業主でも開業できるものがあります。それは、”家庭的保育事業”です。
よって、個人事業主が、開業できるのは認可外保育園と家庭的保育事業の2つです。
認可外保育園とは?
認可外保育園は、その名の通り、行政からの認可を受けていない保育園です。
無認可保育園と言われることもありますね。
すごくネーミングの印象が悪いんですが、仕方ありません。
認可外保育園は、一定の基準を満たして届出を出せば開業できますし、規模やらサービスは自由に設定できますが、行政からの補助金はかなり少なくなります。
規模やサービス・料金は自由に設定できますが、職員数や面積などは設置基準で定められており、規制はあります。
しかし、独自のサービスで人気を博すことができれば十分に稼げますので、リスクと共に夢はあります。
家庭的保育事業とは?
保育者の家でも開業できるもので、個人または法人が設置することができます。
市区町村による認可を受けて行う事業です。
また、認可事業ですので、補助金が貰えます。
園児は、0〜2歳を5人まで預かることができます。
職員配置は、0〜2歳3人に対して1人。もしくは、園児5人対して2人の職員が必要です。
社会的養護には”家庭的”さを重視する考えがありますし、待機児童のほとんどが0〜2歳ですので、待機児童問題を解決するためには、家庭的保育事業も必要と考えられています。
ただ、最近は、小規模保育事業の開設が多いため、家庭的保育事業の公募は少ない状況です。
個人事業で開業できる保育園の収入は?
さて、個人事業として保育園を開業できるとして、いくらもらえるのでしょうか。
今回は、認可外保育所と家庭的保育事業なので、なかなか計算しづらいので、簡単にイメージだけお話しします。
認可外保育園の収入
認可外保育園は、定員もサービスも料金も自由度が高いですので、ある程度の規模や保育料の設定がないと全くもって計算できません。
よって、認可外保育園に関しては、収入を計算する上で必要な知識をお教えしておきます。
認可外保育園とはいえ、保育所ですので、設置基準というものがあります。認可外保育所の設置基準では、基本的にスタッフは常時2名以上必要です。
サービスの質から考え、11時間かそれ以上はオープンしていると思いますので、2名だけで回すのは難しいですね。
早番・中番・遅番の最低でも3人は必要になります。誰かが休むと大変なことになるので、できれば4人は欲しいところです。
次に賃料です。小さい規模の認可外保育園は、まず1階にはありません。2階か3階です。都会で認可外保育園を1階に出店すると、ほぼ間違いなく賃料が高すぎて経営が立ちいかなくなります。
次に、”保護者から保育料をいくら徴収するか?”というのが、非常に大きな問題です。月に10万や20万円徴収するところも多いです。
これ、高いと思うかもしれませんが、0歳児だとコスト的に1人15万〜20万円かかります。
1〜2歳でも10万くらいかかります。となると、結構な保育料を徴収しなければなりません。
支出のほとんどは、人件費で、次に賃料です。スタッフは4名、賃料、保育コストを総合的に収入を計算しましょう。
家庭的保育事業の収入
次に家庭的保育事業の収入についてです。
こちらは、スタッフ1人で3人の子供を見ます。(もしくはスタッフ2人で5人の子供)
自治体によって補助金が異なりますが、ざっくり35万円〜45万円くらいの補助金は貰えます。
自治体によりますのでハッキリとは言えませんが、この補助金に更にプラスもあると思って良いです。
3人分のスペースでいいので、賃料もそれほど高くなく、人件費は1人分ですので、スタッフを自分か配偶者がやれば、賃料以外は全部収入になりますので、個人事業としては最悪ではないかと思います。
おわり:最終的に保育事業を拡大するなら
個人事業主で開業しなくても、法人を設立してしまって良いと思いますが、今回は個人事業主として保育園を開業する方法でした。
この、認可外保育所と家庭的保育事業で保育業界へ参入し、保育事業の実績を積み、認可保育園や小規模保育所などの認可系保育園を作るのが目的なら、法人を作った方が良いです。
自治体の公募では、法人としての保育経験を見られます。
個人から始める場合は、家庭的保育事業→小規模保育所→認可保育所というルートが事業拡大するしかありませんが、小規模保育所や認可保育所を作る場合には法人が原則になっていますからね。
事業拡大が前提なら、法人を設立して、良い物件を見つけて少しでも規模の大きい保育園の開業を狙うのがオススメです。
独自サービスを展開して、認可外保育園で勝負するのも良いと思いますので、ご自身の資金や確保できる人材によって、判断しましょう。
家庭的保育事業より規模の大きな認可系の保育園を開業したい場合は、下の記事をご確認ください。
それでは、保育園のが異形ができることを祈っております。