認可保育園(認可保育所)の開業・経営について

認可保育園(認可保育所)の開業・経営について

認可保育所を開業するのは、業界未経験の事業者は難しいです。

基本的には、認可保育園か小規模保育園の経営をすでに行なっている必要があります。

認可を受けるには、保育事業の実績を見られるという訳です。

保育経験がない事業者の場合、新規参入は少なくとも医療・介護・福祉などの事業経験がないと参入できないことが多いです。

しかし、チャンスはない訳ではありません。

認可保育園とは

認可保育園の正式名称は認可保育所で、また、単に保育所という場合はこの認可保育所のことを指します。

認可保育所は、保護者から保育料をほとんど徴収せず、国からの補助金(運営費)をもらいながら経営していきます。

園児の定員は、0歳or1歳〜就学前までので原則60名以上と、大きい規模の保育園となります。

集客の心配がなく、保護者は区に入園希望を出し、区が各園に新入園児を振り分けでくれます。

スタッフは、園長と主任、保育士12名程度、調理員2名、これくらい揃える必要があります。

認可保育園を経営するメリットとデメリット

参入障壁が高く、簡単には開業できない認可保育所ですが、メリットだけでなくデメリットがあります。

それぞれ確認しておきしょう。

認可保育園のメリット

認可保育所の経営で最大のメリットは、全く集客をせずに安定した収入を得られることです。

また、地域の待機児童問題の解決に貢献でき、保育というやりがいのある仕事ができます。

色々な行事は盛り上がって成功すれば達成感がありますし、子供達が成長していく姿を見ていると感動します。

卒園式はやはり普通に泣けます。

認可保育所は規模が大きいので、イベントは盛り上がりますね。

子供のより良い保育サービスの提供に集中するために、安定した収入がもらえるということですね。

認可保育所のデメリット

デメリットは、行政の基準に合わせて運営しなければならず、開園がそもそも難しいこと。

認可保育所は、規模が大きいので物件の保証金、開設前の家賃から、改装費など、非常に大きい初期費用が必要になります。

そして、基準に合わせると、保育料の値上げや値下げ、自由なサービスもできません。

また、保育士不足ですので、保育士の確保が大変です。マネジメント側は保育士の確保がメインの仕事になるでしょう。

認可保育園を開業するには

まず、都内で認可保育所・小規模保育事業・認証保育所のいずれかの運営経験が1年以上が必要です。

ほとんどの区が、これを条件にしています。

厳しい区の場合、認可保育所の経験しか認めてくれないこともあります。

「新規参入お断り」と言っているようなものです。

認可保育園は、保育サービスの根幹です。区の認可を受ける訳ですから、実績と経済基盤が必要になります。

しかし、なぜか新規参入も少なからずあります

認可保育園を開業するには一体どうすれば良いでしょうか?

ちなみに、本来は保育”園”とは言わず保育”所”と言います。

また、認可保育園を開業する場合、1億円近いお金を用意する必要があります。(ほとんど補助金で戻ってきます。)

認可保育園を開業できるかも知れない方法

認可保育園を、保育事業の経験がなくても開業できる可能性があるパターンは、以下の通りです。

  1. 認可外保育所で運営実績を作って、後に認可保育所を開業する
  2. 認可保育所の基準を満たした認可外保育所を作り、実績を積んだ後に認可保育所へ移行する
  3. 小規模保育事業・認証保育所で保育事業へ参入して、後に認可保育所を開設
  4. 圧倒的に良い物件を用意して公募以外で認可をもらう。
  5. フランチャイズを利用する。

3の小規模保育事業・認可保育所の開業を目指すのが最も確実な訳ですが、この小規模保育事業と認証保育所も認可系の事業なので参入障壁がありますから、簡単ではありません。

かなり遠回りになりますが、「認可外保育所→小規模保育所→認可保育所」というルートも検討した方が良いでしょう。

幸運にも認可保育所を開業できる場合の具体的な手順は別記事にまとめています。

▶︎▶︎【開業の基礎】認可系保育園を開業するには?保育園の開業方法・流れ・手順

フランチャイズについては、オーナーによって向き不向きが分かれます。フランチャイズについては、こちらの記事で解説しています。

▶︎▶︎フランチャイズ(FC)で保育園を開業するメリットはあるのか?向き不向きが極端に分かれます。

認可保育園の収入・補助金(運営費等)

認可保育所を経営する上でもらえる補助金(運営費等)ですが、これはかなり複雑で経営したことがある人でないと、訳がわかりません。

児童数に合わせた補助金と、職員数に合わせた補助金、賃料に合わせた補助金、保育サービスを充実させるための補助金、保育士の処遇を改善するための人件費補助金などなど…

非常に様々な補助金で構成されており、ネットで調べても正確にいくらもらえるかは、絶対に分かりません

ここでは、東京都内で60名定員の認可保育園の収入の例をご紹介します。

◆1年間の収益例

  • 運営費補助金:8,200万円
  • 保育士の処遇改善補助金:800万円
  • 保育サービスの充実補助金:200万円
  • 保護者からの徴収:300万円
  • その他(区によって家賃補助など)

合計9500万円の収入

同じ60人定員の認可保育園でも、0歳保育の有無、そして各年齢の人数で変わってきます。

しかし、普通に運営しているだけで、1億円程度の収入が得られます。

そして、一度入園した児童は、ほとんどが転園することなく卒園しますし、新入園児も役所が児童的に振り分けてくれますので、経営はずっと安定します。

参入障壁が高いのも頷けますね。

おわり

いきなり認可保育所を開業するには、かなりの資金と運と努力が必要になりますが、もし開業できるような状況にあるなら、是非是非一度チャレンジしてください。

一度開業できれば、安定した経営ができますので、事業拡大が狙えます。

ただ、経費削減で人件費を削ると、あっという間に保育士はいなくなりますので、ベンチャー的な勢いは出さない方が良いですが、3〜4店舗は目指したいところですね。

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私は、保育園の経営・人事を10年勤め、現在は保育園コンサルタントとして活動しております。 保育園の開業・経営・人事の経験および実績が複数あります。 保育園のことで、お悩みの方は、コンサルティングサービスを是非ご一考ください。

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