まだまだ全く貢献できていないものの、ワーキングウーマンの支援が最終目的であるこのサイトですが、働く女性の中には当然に子育てとの両立が課題になっている女性も多いと思います。
そして、仕事と子育ての両立を実現するインフラと言えば、保育園です。
私は、過去、保育園の経営側(&人事部長兼任)で10年間働いてきましたので、今回はその経営側の視点からおすすめする保育園選びの方法をお話したいと思います。
今回の記事で、これまでとは違う保育園選びが出来るようになりますので、是非参考にしてください。
ただ、お読みいただければ分かりますが、多種多様な保育園があり、地域性もありますので、「こんな園を選べ!」という結論にはなりません。ここでの話を総合してベストだと思う保育園を選んでください。
(ちなみに、一般的に保育園というのは認可保育園を指します。ここでも認可保育園を想定した話になります。)
保育園選びの基本中のキ
保育園選びで、最も重要なのは通園時間です。
家から最も近い保育園、または家と駅の間つまり通勤経路にある保育園がベストです。聞くまでもなく分かる話だと思いますが、やはり最も重要な要素なので書きました。
保育園は、5年以上も通わせる場合がある場所です。脳も体も最も発達する乳幼児期に5年ですから、教育の質に拘りたいと思うでしょうが、それよりも保護者の精神状態が最も重要です。
毎朝、地獄からの使者かのような形相でバタバタしてストレスを溜めて、夜泣きする子どもに八つ当たりしてしまっては元も子もありません。
出来るだけ自分のストレスにならないよう、通園時間を短縮するべきです。
通園に係る時間が短いのならば、これだけで、第一希望に書く価値があります。
さて、続いては、通園時間が短いor許容範囲内でどこを見ていけば良いかを、元保育園経営側の私の視点からお話しします。
◆おまけ
色々気にしても受かったところに行くだけだ!と思うかも知れませんが、第一希望や第二希望などの上位に書く保育園はやはり精査したほうが良いです。自治体によっては、希望の順位は付けられませんが。
保育園選びの基本のホ
保育園選びでよく悩むであろうポイントを潰していきたいと思います。
が、その前に、最高の保育とは何かをお話しします。そして、カリキュラムの存在意義について。
この最高の保育を完璧に実現するのは、保育士不足もあり子ども多様ですし不可能に近いです。しかし、知識として抑えておくと自分の子育てにも有益だと思います。
最高の保育とは
◯◯式とか海外の保育システムみたいなのとか、色々あって困っていると思います。
しかし、保育とは遊びや人との関わりの中で学ぶスタイルが最高です。色んな考えがあると思うかも知れませんが、日本が定める保育とはこういうことです。
園内でも公園でもどこでも、他の人から見れば遊んでいるだけに見えますが、その遊びの中で常に学ばせていきます。
簡単な例を挙げますね。
公園に行ったら、見たこともない虫(アリ)がいたり、タンポポが咲いていたりします。
それらに子どもが興味を示しますが、そこで保育士がすかさず「アリだよ。」「タンポポだよ。」「アリが自分のご飯を運んでるね。」「種が飛んでいったね。」などなど、全てを補足し続けていきます。
これらをすべての場所で常に行います。授業のように言い聞かせることなく、子どもが主体的に遊ぶ中で、それと同時に学ばせていきます。
喧嘩しても、ただ喧嘩を止めるのではなく、「この子はこれで怒ってるね」「この子はこれで悲しんでるね」「この子はこうしたかったんだろうね」と喧嘩中にも声をかけ続け、常に学ばせていきます。
大人が冷めた目で見てるとアホらしいと思うこともあるかも知れませんが、これを続けることで子どもは成長していきます。
しかも、この自然と何を学ばせるかを、年間・月間・週間・一日と全て計画を立て実行しています。
これだけで、とんでもなく凄いことをしていると分かると思います。
更に、運動・音楽・食事・製作(図工的なもの)など全てにこれを行います。しかも連絡帳も書いて、記録も書いて、行事もこなし、SIDS(乳幼児突然死症候群)対策に寝ている子を5分おきにチェックするなど、保育士はとにかく仕事の種類が多いです。
しかし、正直言って保育士不足の今は、保育士にも余裕がありません。人員も環境が整っていない状況で働いています。最高の保育を目指していても、難しいことも多いのです。
この責任は誰に問えば良いのかも分かりません。とりあえず、待機児童問題と保育士不足のWパンチですので、行政が悪いとするしかないかも知れません。
声を上げるのは大事ですが、文句ばかり言っても仕方ありません。この遊びと学びが完全に融合した姿が保育であることを踏まえて、次を見ていきましょう。
カリキュラムが充実している保育園はどうなのか?
もうお分かりかと思いますが、最高の保育が出来る状況にあれば、◯◯式とか必要ありません。
しかし、優秀な保育士を揃えて、完璧な環境を整えるのが無理な状況下では、カリキュラムを導入するという選択肢があります。
カリキュラムを導入する理由は、2つあります。
- 保護者ウケ(他園との差別化)
- 保育士の補助
例えば、英会話ですね。
クッキングは食育の観点からカリキュラムとしてではなく普通の保育として導入されるものですが、英会話は完全にカリキュラムです。
この英会話は、非常に保護者ウケが良いです。ただ、仮に保育園で英会話が出来るようになっても、小学校でも英会話を続けなければ英語は話せません。
保育園は、小学校にバトンタッチするという観点でも計画を立てて保育しています。小学校が1年生からバリバリ英会話を行わない以上、保育園で英会話が必須とは思えません。
しかし、とにかく保護者ウケが良いんですよね。凄く良い発音で子どもが英語を話したら、分かりやすい実績ですからね。簡単に「お~!凄い!」という評価を得られる訳です。
また、英会話の時間を設けて、その時間帯に英語の講師を呼ぶのであれば、保育士が英語のスキルを身につける必要がなく、更に保育士にその英語の時間は余裕が生まれます。
運動系のカリキュラムの場合、園庭や近くに良い公園がなくてもカリキュラムで補えます。また、保育士も遊びの中に運動能力の向上を入れられなくても、カリキュラムのお陰で補完出来ます。
(言っちゃ悪いですが、カリキュラムがあることで、未熟な保育士でも一定の成果を上げることができます。)
ただし、保育士の補助ではなく、保護者ウケだけを狙ったカリキュラムは不要と言えます。
例外として、運動特化・勉強特化・自然特化などの保育園は、保育がどうこうではなく自分の子育て論とマッチする場合は選んでも構いません。
基本のン
基本のキなら分かりますが、「基本のホとか基本のンって何だよ。」と思ってきました。しかし、いい流れなので続けます。
基本のンでは、保育園選びで悩むところを潰していきます。少し細かいところになりますが、非常に重要ですので、是非覚えていただきたい所です。
ホームページ
保育園の集客は、行政が代行していると言っても過言ではありません。つまり、ホームページを素晴らしいものにする必要はないのです。
ホームページをしっかりと整備するかは、経営側の好みです。
綺麗そう・楽しそうというイメージ広告のようなホームページより、「入園のしおりを更新しました」や「◯月の見学のお問い合わせはこちら」など、事務的でもニュース欄に、必要な情報を更新し続けているホームページの方が遥かに良いです。
つまり、保護者の方は、ホームページの質で保育園を選ぶ必要はありません。
ただし、スマホ対応もしていない、内容も数年間更新されていないというものであれば、それはユーザービリティを無視したサボりですので、この場合のみ減点しても良いでしょう。
電話対応
見学時の話し方もですが、電話対応はあまりにも感じが悪い場合以外は気にしなくて構いません。
保育士さんは、言い方が悪いかも知れませんが、ビジネスマナーは学んでいません。敬語も、尊敬語や謙譲語の使い分けができず、丁寧語オンリーでも気にしないでください。保育士さんは、あくまで保育の専門家であり、保護者対応の専門家ではありません。
ただ、ビジネスマナーまで習得した保育士さんだらけの保育園は、職員教育が頭一つ抜きん出ているので、加点してよいでしょう。
見学:スタッフポスターを見よう
これを事前に知っていると見逃さないと思いますが、保育園には顔写真付きのスタッフポスターがあります。
顔写真だけではありますが、どんな保育士さんがいるのかを確認することが出来ます。
また、余裕があるなら、人数も確認すると良いでしょう。
基準職員数という、保育園を運営するために必要な保育士数の規定があります。(少なくともスタッフポスター上では、)これを下回っている保育園は無いでしょう。
しかし、余裕があるかを確認する目的では使えます。
基準職員数を上回っていれば運営には問題ないものの、同じような児童定員数の保育園を見て回った場合、スタッフポスターの人数で充実度を比較できます。
細かく計算する必要はありませんが、参考までに保育園の基準職員の計算は以下の通りです。
◆基準職員計算(児童:保育士)
- 0歳→3:1
- 1歳→6:1(5:1にする自治体あり)
- 2歳→6:1
- 3歳→20:1(15:1にする保育所あり)
- 4歳→30:1
- 5歳→30:1
*これは最低基準になりますので、更に保育士を配置する必要があります。よって、計算したら小数点に以下が出てくると思いますので、それぞれを足してから繰り上げておけば良いです。
見学:保育士さんの挨拶を確認しよう
上手くいっていない保育園は、非常にスタッフ間の空気が悪いです。
空気が悪いとスタッフが無気力になっています。そういう場合は、来客に対する挨拶の仕方が悪いです。
見学の時間帯によっては、保育士さんとすれ違うことも無いでしょうが、挨拶はやはり大事ですので気にしておきましょう。
見学:施設の清掃具合を見よう
新しいとか古いとかではなく、「新しい割に汚い」とか「古い割にきれい」というとこを見てください。
挨拶と少し似てますが、上手くいっていない保育園は掃除がいい加減です。
また、経営がずさんな保育園は、ありえないようなことをします。(トイレをオモチャの倉庫にしているなど)
こういう保育園は、行政からの監査の時だけキチンとして、他はいい加減という最悪な保育園の可能性があります。
基本の…裏
キとホとンで進めたせいで、足りなくなってしまいました。
しかし、挫けずに進めます。
これ、あまり言わない方が良さそうなんですが、誰でも思いつく可能性があるので書いてしまいます。
求人広告を見る
これをやられるとビビる保育園は結構あると思います。
例えば、「保育士が足りません!急募!」とか「園長募集!」と書いてあれば、驚きですよね。
それ以外では、保護者への説明と保育士への説明が違うことが、たまにあるんです。
あまり具体的に書くと、どこかの保育園が該当してしまうかも知れませんので、あり得ないけどイメージできる例を出しますね。
保護者への説明→「メリハリのある保育をします」
保育士への求人広告→「アットホームな保育をします」
こういう感じで、保護者には保育論がしっかりしている保育園と思わせるような説明をしているのに、保育士への求人広告には楽に働けそうな説明をするんです。
こういうそれぞれに都合のいい説明をするのは、その場しのぎの信念のない保育園である可能性が高いので、減点して良いでしょう。
ちなみに、前述の最高の保育を読んだ方には分かると思いますが、メリハリのある保育は最高の保育ではありませんので、保護者への説明ではあまり言わないはずです。
おわり
一つ踏み込んだ説明を心がけてみました。
少し長くなって申し訳ありませんが、これで上位希望に書く保育園は決められると思います。
「キ」をベースとして、「ホ」を踏まえて、「ン」で判断しましょう。追加が必要なら「裏」で最終確認です!
それでは、貴女が良い保育園選びが出来ますように…!